2009年7月26日日曜日

「精霊たちの家」

「精霊たちの家」 イザベル・アジェンデ著 木村榮一訳 河出書房新社

この本についても、作者についても全く知らず、
帯にプリントがあったレメディオス・バロの絵に惹かれて
手に取りました。
バロはとても好きな画家なので、
呼び止められたような気がしたのです。
パラリパラリとページを捲ってみて、
呼び声に間違いが無く、読まなければいけない本だとわかりました。
そして、この南米特有のゆらめく時間と空間を堪能することになったのです。

単に楽しむだけとしても、チリの歴史小説としても、
幻想文学としても、どこにポイントにおいても、読み応えのある作品でした。
種明かしをしてしまうのはもったいないので、止めておくとして、
精霊たちが存在した時代については、とてもファンタジックで、
甘いカクテルを飲んでいるような酩酊感を感じましたし、
より現代に近い話では、厳しい現実を突きつけられるような、
フィクションを読んでいるような感覚に陥りました。
終わりが来るのがもったいなくて、ゆっくりと進めたのですが、
大作にふさわしいエンディングにため息をつきながら、読了しました。

アジェンデについて詳しく書かれた解説を読むと、
この作品はあと2作続きがあり、大河小説となっているとのことです。
無事、民主化されたチリの様子もわかるのでしょうか、
続きが読みたくてうずうずしてしまいます。

レメディオス・バロの念力に感謝です。

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