2010年11月3日水曜日

「ペルセポリス」

「ペルセポリス」 マルジャン・サトラピ著 園田恵子訳 バジリコ

しばらく前に話題になったアニメーション「ペルセポリス」。
イランの女の子が主人公の話ということを耳にして、
とても観てみたいと思っていましたが、今のところチャンスがありません。

と、おもいがけなくジュンク堂三宮店で親本を発見しました。
もう5年も前に出ていたのですね。
ぱらぱらと捲ってみると漫画というかバンドデシネというか、
すごく力強い筆致でシンプルに描かれた絵がぎっしり詰まっています。
これは映画を観るよりも良いかも!と手に入れました。

話は実話で、1969年にイランのリベラルな上流家庭に生まれた少女マルジが、
テヘランで育ち、イラン革命、イラン・イラク戦争を経験し、
オーストリアでの留学生活を経て帰国、戦後のイラン社会の中で
揉まれながら病に伏せたり、大学へ進学したり、結婚したり、
離婚したり、の大きな起伏のある人生を送っている状況をリアルに記述したものです。

イランについてよく知らない、イスラム教社会であることくらいしか知らないのですが、
このような体験談を読むと、日本とは大変違う社会であることと、
社会の違いによって人生が大きく変わってくることを痛感させられます。

リベラルな家庭に育った著者は、自分なりの社会観や人生観を
体験することで学び、構築させていきます。
このことがとても重要なことです。
民主主義の日本の社会に育ったものは当たり前のように
自分に今ある社会観や人生観を自由に扱えると考えているようですが、
反って方向を見失いがちなように思われます。
自分の考えをしっかり持つ。
おばあさんの言う「公明正大」に生きるということ。
これらは教えられる機会がないときには、
自ら見出さなければなりません。

がんばれ、マルジ!

著者は現在フランス在住。
フランスでは4巻まで出版されているそうです。
マルジのその後が知りたいです。

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