2012年11月14日水曜日

「アイロンと朝の詩人」


「アイロンと朝の詩人」 堀江敏幸著 中公文庫

堀江さんのエッセイがまとめられた“回送電車”シリーズの3冊目。
小説もとてもいいけれど、個人的には堀江さんの場合エッセイや評論が
とても好きです。と、いうわけで、楽しみながらの読書でありました。

堀江さんのユーモアと少々自虐的なコケ方とがあいまって、
本来の知的な部分の固さが緩ませてあるおかげで、
読者もゆるゆると微笑ながら読むことができます。

堀江さんのお話ぶりを聞いてみると、
とてもお話し好きの、頭の回転が早い、勘のよい方であることが
わかるのですが、
そのあたりも奥ゆかしく隠されておられるのも、お人柄でしょうか。

そういったことは、生き方にも反映されていると思うのです。
書き手を信じて読むことができる、読書の理想が一つ具現化されています。

このエッセイにあることは、読者にも心あたりのあるところでしょう。
そうして、自分について考えてみることができるのも、
読書のいいところでしょうか。

12月にはみすず書房から、堀江さんの新刊が出る予定だそうです。
どんな内容でしょうか、これまた楽しみです。

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