2017年2月8日水曜日

断念した本と読み始めた本

断念したのは、
ヨハン・テオリン著「夏に凍える舟」 ハヤカワ・ポケット・ミステリ


テオリンの作品は、これまで「黄昏に眠る秋」「冬の灯台が語るとき」
「赤く微笑む春」とあり、この本で4部作となります。
舞台も主要登場人物も同じ設定で、
一年間の北欧の自然の移り変わりを感じることができます。


最初の作は作品としてまずまずだと思っていましたが、
次の冬の作品はとても良かったのでした。
かなり評価も高かったようです。
春の作品はミステリとして面白くはあるのですが、
好みがあわなかったのでした。


どの作品もどの登場人物の心理も掘り下げてあり、
島にやってきて、今、どのような気持でいるのか、
細かく書かれています。
それが大きな特徴の一つでしょうか。


そういう意味では、心理を追う作品であり、ミステリであり、と
良い条件は整っているのですが、
とっても陽射しが遠く、冷たく、寒く、感じられるのです。
ひやひや、はらはら、ということでしょうか。
とても地面が不安定で、うまく立っていられない、というか、
いやな予感が漂ってくるというか。


というわけで、気持ちがついていかなくて、
無理をして読まないほうが、
身のためだと思い、途中で止めることにしました。
3分の1くらいは読んだので、
ちょっと残念ではあるのですが、
精神的によくないような気がしたのです。


昔は、フロスト警部やトマス・ハリスとか読んでいたのですがね。
もう怖いのは、遠慮したい感じになりました。


で、読み始めたのは、
「失われた時を求めて」のバンドデシネ。
翻訳本で大型のものが出ているのは知っていたのですが、
第3部までをまとめた本が出ておりました。
訳者は中条省平、絵はステファヌ・ウエ。
とても細かい描写で、
前に読んだ内容の記憶が蘇ってきます。
もちろん絵によって、イメージがすり替わってしまう可能性はありますが、
自分の知識には無い事柄が多い小説ですから、
それを補ってくれると考えています。
しばらくこちらを楽しもうと思っています。
ゆっくり、ゆっくりと。

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