2010年6月1日火曜日

“カティアが歩いた道”

須賀敦子さんの「ヴェネツィアの宿」に納められた一章、
“カティアが歩いた道”。

須賀さんが20代でパリに留学していたときのこと、
寮の同じ部屋で少しの間一緒に過ごしたカティアさんとのことが
書かれています。

厳しいフランスでの勉学、現実と理想との狭間におかれた須賀さんを、
理解し、見守ってくれたカティアさん。
カティアさんも同じように自分の歩く道を模索していたのでした。

ここでは数十年後の二人の再会が描かれます。
美しい桜を背景に変わらない互いの姿が絵のように映ります。

※※※

自分のやることを決めて進んでいるつもりでも、
毎日のように悩みます。
読書一つ、進めない日々が続いたりすることもあります。
煮詰まったり、落ち込んでしまったりしたら、
この“カティアの歩いた道”を読むのです。
須賀さんのおだやかな語りの中に、
須賀さんやカティアさんが迷いながらも、
信念をもって歩んでいた姿をみることができます。
これが原点だといつも思わされます。

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