2010年6月23日水曜日

「平和構築」

「平和構築」 東大作著 岩波新書

著者の東大作氏は1969年生まれ、東京都出身。
9年間NHKディレクターを務め、
ベトナム戦争や中東問題、核問題、イラク復興問題などを
取り上げた番組を数多く制作されたそうです。
退職後、カナダへ留学し、国際政治学を専攻、
現在は国連で仕事に従事されているそうです。

この本は2008年にアフガニスタンと東ティモールにおいて、
国連の協力を得て自ら行った関係者へのインタビューと
アンケート調査を元に書かれたものです。
練られた準備の上に綿密な調査がされた報告書は、
国連機関や政府機関で広範に利用されているということです。
そこから考える「平和構築」はどうあるべきか。
武装解除、新政府の樹立、総選挙の実施、経済計画など、
成すべき課題が次々と挙げられる中、
タイムリーに事を対処していかねばなりません。

アフガニスタンと東ティモールにおけるアンケート結果は、
地元の人間がどのように考え、どう希望しているかを明確に伝えています。
当事者の考えを知ることも一つ大切なことだと思われます。

国連がどのようにコミットしていくべきかという点も、
このアンケートからヒントを得られるように思われました。

日本人として日頃感じていることは、
一般のニュースだけでは、伝わらないことが多いということです。
この本を読んでさらにその気持ちが強くなりました。
本の末尾にJICAの理事長である緒方貞子さんの言葉があります。
“世界はすでに相互依存の時代になっている。相互依存がグローバリゼーションの
 実態です。その相互依存の世界で暮らしていくためには、
 日本だけがいいというのでは、足りません。”
私たちが食べているもの一つにしても、世界の国々と関係の無いものはありません。
世界のことをお互いに考え、協力し合う時代が到来しているのでした。

もちろん日本の内政が安定しないと始まらない部分も大きいでしょう。
教育面で考慮していくことも大切かと思います。
広告のコピーだけで終わらずに、私たちの視野と意識も広げていかなくてはいけません。

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