2009年11月10日火曜日

「高慢と偏見」

「高慢と偏見」 ジェイン・オースティン著 中野康司訳 ちくま文庫

オースティンの作品はいずれも大変面白く読めますが、
中でもこれは傑作といっていいでしょう。

文章のシンプルさを基本に、
物語の筋、展開、人物造詣、
背景、会話の妙味、
どれをとってもバランスが良く、
客観性が保たれており、
流れもスムーズで、無理がありません。
欠点があまり無いように思えます。

筋を追うだけでも充分楽しいですが、
この作品は主要人物のダーシーとエリザベスの
精神的成長を掴んでいくのが重要です。
タイトルの意味がよくわかります。

この新訳で読みやすくなり、
理解しやすくなっています。
旧訳にもそれなりの良さがありますが。

ちくま文庫からは、
エマ・テナントによる続編も出ています。
一読しましたが、
個人的にはあまり必要はないものと思います。
続編というのは難しいところです。
水村美苗さんの「続 明暗」ような作品もあるのですから。

これで勢いが点き、
オースティン街道をもう一歩進みます。
今日から「ノーサンガー・アビー」です。
一番大好きな「説得」を最後に持ってこようと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿