「高慢と偏見」 ジェイン・オースティン著 中野康司訳 ちくま文庫
オースティンの作品はいずれも大変面白く読めますが、
中でもこれは傑作といっていいでしょう。
文章のシンプルさを基本に、
物語の筋、展開、人物造詣、
背景、会話の妙味、
どれをとってもバランスが良く、
客観性が保たれており、
流れもスムーズで、無理がありません。
欠点があまり無いように思えます。
筋を追うだけでも充分楽しいですが、
この作品は主要人物のダーシーとエリザベスの
精神的成長を掴んでいくのが重要です。
タイトルの意味がよくわかります。
この新訳で読みやすくなり、
理解しやすくなっています。
旧訳にもそれなりの良さがありますが。
ちくま文庫からは、
エマ・テナントによる続編も出ています。
一読しましたが、
個人的にはあまり必要はないものと思います。
続編というのは難しいところです。
水村美苗さんの「続 明暗」ような作品もあるのですから。
これで勢いが点き、
オースティン街道をもう一歩進みます。
今日から「ノーサンガー・アビー」です。
一番大好きな「説得」を最後に持ってこようと思います。
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