2014年3月8日土曜日
<知性の大小の差というものは・・・>
<知性の大小の差というものは、終身禁固に定められた囚徒にとって
独房が広いか狭いかの差にすぎない。おのれの知性を誇る知的な
人間は、広い独房に入っていることを誇る囚徒に似ている。おのれの
虜囚にうすうす気づいている精神は、できれば自己にもそれを隠そう
とする。しかし虚言をおぞましく思うなら、そうはするまい。するとひどく
苦しまねばならない。気を失うまで頭を壁に打ちつけるだろう。(...)
これが何度もくり返される。はてしなく、なんの希望もなく。いつの日か、
精神は壁の向こう側で眼をさます。枠組がすこし広がったとはいえ、
それでも精神はまだ虜囚の身である。かまうものか。すでに鍵を手に
したのだ。あらゆる壁をうち毀す秘密を。かくて知性を呼ばれるものを
こえ、叡智がはじまる境地にいたる。>
「シモーヌ・ヴェイユ選集Ⅲ」 冨原眞弓訳 みすず書房
みすず書房の上記の本の紹介分の一部として、
HPに掲載されている一文です。
大きな溜息を、一つ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿