2014年3月9日日曜日

「戸惑う窓」

しばらく前からこのブログの投稿がうまくできません。
今日は写真がupできません。
何かが根本的におかしい感じがしますが、
どうしたらよいのかもよくわかりません。
で、今日の本の紹介は文章だけです。


「戸惑う窓」 堀江敏幸著 中央公論新社


窓にかかわるエッセイが25編並んでいます。
ご自身の体験にまつわる窓、
アンドリュー・ワイエスの絵から考える窓、
窓そのものを撮影した写真家エドゥアール・ブーバ。
マチスの絵から連想されるリルケの揺れ動く「窓」。
正宗得三郎、正宗白鳥兄弟のエッセイから想うこと。
日野啓三の短編から思い出すこと。
サン=テグジュペリからシムノンと映画「仕立て屋の恋」、
そして安部公房「箱男」、フィリップ・マーロウを通って、
詩の数々。
窓からスタートして話が大きくなっていくエッセイや、
窓をクローズアップして窓について考察しているエッセイ、
窓がキーワードになる小説の話、
柔軟な発想から窓一つから、話が広がってゆく、
想像力がいつも以上に求められるエッセイ群です。


パリのノートルダム寺院の薔薇窓は有名なステンドガラスですが、
これも憧れを誘う言葉がイメージを膨らませてくれます。


ちょっとした言葉をきっかけに窓に繋がっていくエッセイなどは、
いつ窓がでてくるのだろう?と心配になるほど、
複雑な内容でした。


最も共感できたのは、
プルースト「失われた時を求めて」で初めて主人公が海辺の避暑地バルベックを
訪れ、宿泊していたグランド・ホテルの部屋の窓から差し込む陽光について思いをめぐらした
素晴らしいシーンについて、書かれたエッセイです。
このシーンは私もとても儚くも美しいと思った部分だったので、
とても嬉しく読むことができました。


本に使われているのはモノクロの高山正隆の作品で、
絵画とも写真とも思える静かな趣のものです。
ぼやけ方がピンホール写真のようにも見え、
記憶を辿っていくときの少しずれたようなイメージが印象的です。

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