2010年4月1日木曜日

「恋愛迷子」

「恋愛迷子」 小川内初枝著 光文社文庫

著者の小川内さんと、
昔、同じ職場で仕事をしていました。
しばらくは会うこともなかったのですが、
小川内さんが太宰治賞を受賞されてから、
再びお話をするようになりました。

頭脳明晰、才能豊か、
とても繊細で、豊かな情感をお持ちの方だと
常々感じています。

そんな小川内さんが書かれる小説は、
現代に生きる女性の揺れる心をしっかりと捉えた
芯のある作品ばかりです。

この「恋愛迷子」では、
自立を求め、果たしながらも、
信じるという行為に疑問を呈して、
自らの生き方を選択できずにいる、
31歳のOLの迷える姿を描いています。

この主人公が何故、どのように惑うのか、
さらには、どのように生を営んでゆくのか、
舞台設定も鮮やかに、
求心力を持って物語は明かしてくれます。

藤田香織さんによる解説も
丹念に読み込まれた上でのもので、
読後感を充実させてくれるのでした。

人間の存在意義を問うに近い、
生きる困難さを、
心理面から描いている小川内さん、
今後も書き継いでいってください!

2 件のコメント:

  1. 「恋愛迷子」の感想、うれしく拝読しました。ありがとうございます。またたくさんお話しましょうね。

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  2. コメントありがとうございます☆

    いつもお世話になっております。
    今後ともよろしくお願いいたします。

    新作をお待ちしております!

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