2010年4月12日月曜日

「老絵師の行方」のアニメーション

マルグリット・ユルスナールの「老絵師の行方」の
アニメーションを見てみました。

監督はルネ・ラルー
原画はフィリップ・カザ
1987年のショート・フィルムです。

タイトルは「ワン・フォはいかにして助けられたか」
“Comment Wang-Fô fut sauvé”

訳者の多田智満子さんは
この原題を「老絵師の行方」とされたわけで、
本当に素晴らしいセンスですね。

内容は原作に忠実です。
短い作品なので、
とてもシンプルな構成です。

造型は少々SFのように仕上がっています。
中国をそのままに念頭においていると、
少々違和感があります。

もう一つ感じたこと。
文章を追っていく場合は多少の時間を要します。
それに対し視覚と聴覚に置き換えると、
とてもスピーディーになってしまいます。
読むという行為は、
言葉を噛みしめていくうちに、
じわじわと感じ取られるものがありますね。
情景を思い浮かべながら、
彩りを差し加えて、
人物の心情と身体の動きを想像しながら読む醍醐味。
アニメーションだと、
あっという間にコマが回ってしまうのです。
なんだかもったいない、
と思ってしまいました。

お気に入りのお話だけに、
チェックがたくさん入ってしまいます。

「老絵師の行方」は
「東方綺譚」 白水uブックス の冒頭に置かれています。

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