2010年4月19日月曜日

「アルゴールの城にて」

「アルゴールの城にて」 ジュリアン・グラック著 安藤元雄訳 白水uブックス

「シルトの岸辺」でジュリアン・グラックを堪能したので、
続いて読んだのが「アルゴール」。

ブルターニュの森の中、アルゴールに佇む城。
主人公アルベールとその友人エルミニアンと、
連れの美女ハイデ。

ストーリーはさほど重要ではないように思われます。
というのも、ここではアルゴールという場所に魔力が潜み、
登場人物の3人もおよそ人間的ではないのです。

嵐のようにドラマティックで、神秘的ともいえる情景には、
恐れさえ感じます。

意味ありげな表現が連なり、意図的に劇的な描写は、
緊張感を孕み、
小説というより、散文詩かのようです。

以上のような印象を受けて、
この小説が象徴しているものをしばらく考えていました。
3人の人物は逃れることのできない宿命を背負い、
この小説の中に封じ込められている、
そしてこの舞台には森の中のアルゴールこそ相応しい・・・

なんて素人が感想をぶつぶつと述べるより、
訳者によるあとがきを読んでいただくほうがずっといいですね。

この作品でさらに、
ジュリアン・グラックを読んでみたくなりました。
ただ、ヨーロッパについての歴史や文化に関する素養があれば、
もっと味わえるように思います。
課題山積だなぁ。

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