「アルゴールの城にて」 ジュリアン・グラック著 安藤元雄訳 白水uブックス
「シルトの岸辺」でジュリアン・グラックを堪能したので、
続いて読んだのが「アルゴール」。
ブルターニュの森の中、アルゴールに佇む城。
主人公アルベールとその友人エルミニアンと、
連れの美女ハイデ。
ストーリーはさほど重要ではないように思われます。
というのも、ここではアルゴールという場所に魔力が潜み、
登場人物の3人もおよそ人間的ではないのです。
嵐のようにドラマティックで、神秘的ともいえる情景には、
恐れさえ感じます。
意味ありげな表現が連なり、意図的に劇的な描写は、
緊張感を孕み、
小説というより、散文詩かのようです。
以上のような印象を受けて、
この小説が象徴しているものをしばらく考えていました。
3人の人物は逃れることのできない宿命を背負い、
この小説の中に封じ込められている、
そしてこの舞台には森の中のアルゴールこそ相応しい・・・
なんて素人が感想をぶつぶつと述べるより、
訳者によるあとがきを読んでいただくほうがずっといいですね。
この作品でさらに、
ジュリアン・グラックを読んでみたくなりました。
ただ、ヨーロッパについての歴史や文化に関する素養があれば、
もっと味わえるように思います。
課題山積だなぁ。
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