2009年9月3日木曜日

「雲のゆき来」

「雲のゆき来」 中村真一郎著 講談社文芸文庫

中村さんの文体が好きでなければ、
とうてい読みきることが出来なかったと思われる
引用の多い、複雑な小説でした。

冒頭に元政上人との関わりが書かれて、
上人の作品や生き方を複線に、
ある若い外国人女優との京都への旅が
描かれています。
明らかにされようとするのは、
その女優さんの根底に塊となっている感情。
「私」の中で、元政上人の生き方と女優さんの生き方が
対比され、「私」自身の考えが浮き彫りなってゆく。

実のところ、この本から読み取ることは大変多く、
詩文、和歌などの古典から教えられること、
女優さんを通して考えされられること、
「私」という人物について驚かされること等、
書き出すことができません。
一度読んだだけでは、もったいなく、
「私」の年齢くらいになった頃に、
落ち着いてゆっくり読み返したいと思っています。

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