2009年9月16日水曜日

ヴィルヘルム・ハンマースホイ

手元に昨年催されたハンマースホイの図録があります。

これまで、オルセー展などでふと気になる絵がありました。
絵葉書を一枚見てみるとハンマースホイ「室内、ストランゲーデ30番地」とありました。
ですので、昨年の展覧会には是非行きたかったのですが、
残念ながら機会を逸しました。
急いで図録を取り寄せて、
初めてハンマースホイという画家について知ることになりました。

ハンマースホイは19世紀のオランダで
数々の静寂に満ちた絵を描いています。
生活の中には多数の色が溢れていると思いますが、
ハンマースホイの世界はほとんどモノトーンといっていいかと思います。
そして精密なタッチで形あるものをカンバスに落とし込んでいます。

解説を読んでみると多くの謎があるようです。
構図や物の配置、あるはずの足が無い家具、
陰影のつけ方など、何故このように描かれたのか
不思議に思われることがあります。

でもバランスが悪いという印象はあまり受けません。
ハンマースホイにとって納得がいき、落ち着くように
描かれたのでしょう。
観ている者としても少々謎めいた感じと、
この静寂は心を落ち着かせてくれます。
緯度が高いためか、光が弱弱しいことも、
かえって心を震わせてくれるように思います。

気になるといえば、
モデルとして登場している妻のイーダが、
いつも悲しげに見えることでしょうか。

松浦寿輝さんの「半島」文春文庫には、
ハンマースホイの絵が使われています。
ここでは、名前がハメルショイと記載されています。
オランダではどちらの読みが正しいのでしょうか。

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