2014年5月3日土曜日

「異都憧憬」を手放す

このお休みの間に本の整理をすることにしました。
また、まとめて伏見屋書林さんに送ります。
色々な本が混在しているので、ご迷惑かもしれませんが。


本棚の奥の方に、
「異都憧憬 日本人のパリ」 今橋映子著 平凡社ライブラリーが
ありました。


この本と出合ったのは1993年、書店の海外文学のところに積んであった、
大き目の白い本でした。
良い本と出合ったときのピンとくる感覚があり、
手に取ったところ、とても面白そうだが、大著であり値が張ること、
この著者についても全く知らないということから、買うのは見送りました。
その後、この本と著者が高い評価を受けたことを知るにいたり、
文庫化されたのを幸いに手に入れたのです。


この本を読んで考えていたのは、
自分に学才があったらば、こういう比較文化の世界に進みたかったということでしょうか。
文学の世界から派生し、絵画や写真等、繋がっていく世界は広がって、
アラベスクのような文様にも見え、
それぞれのジャンルに梯子をかけていくようでもあり、
一冊にまとまったこの本は広く世界に興味を誘う多彩な書物です。


その後の今橋映子さんのご活躍は関心のある方にはご承知のとおりです。
妹さんも美術評論の世界でご活躍されています。


そしてずいぶん時が経った今、
若い頃は夢があったというよりも、
ずいぶん背伸びしていたとあきれるばかりです。
これほどの奥深く、広い内容を追いかけることは凡人には不可能です。
単に遊ぶことくらいは許されるでしょうか。


これまでそういった難しい本に手を伸ばしては、
溜息をついてきました。


憧れの本はそれはそれで余裕のある時に手にするとして、
しばらくは、自分に近しい本を読んでいこうと思います。
堀江敏幸さんや須賀敦子さんの本、
ユルスナールやプルースト、カルヴィーノなどなど。
心理学の本を少しと、キリスト教とキリスト教美術に関する本を少し、
哲学の本は考えることを促すために。


本に世界を広げてもらったお礼をどこかでしなければいけないかもしれません。

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