2014年5月6日火曜日

「聖書を語る」

「聖書を語る」 佐藤優・中村うさぎ対談 文春文庫


この本が企画されたきっかけはプロテスタント・カルヴァン派の信者である佐藤氏が、
これまでの経験と“自分のキリスト教思考の輪郭がどこにあるか確認したくなった”、
ところへ、中村うさぎさんと意見交換することになったということです。


中村うさぎさんといえば、様々な言動や著作により知られていますが、
その著作を読んだ佐藤氏によれば、
中村氏は強くピューリタニズムの影響を受けられているということです。


さて、そういう二人の対談はいかに。


本の構成は
  第一章 「聖書を語る」
  第二章 「春樹とサリンジャーを読む」
  第三章 「地震と原発を読む―チェルノブイリ、そして福島」
  第四章 「地震と原発を読む―日本人を繋ぐものは?」


佐藤氏がテーマを提示し、中村氏が疑問を投げかけ、
そして佐藤氏が知識と経験から生み出した返答があり、
中村氏が反撃し、再び佐藤氏がまとめていく。
率直な会話形式で漫然として社会が捉えていると思われる疑問を
お二人でどんどんと突き詰めていく内容です。


第一章から私自身が疑問に思っていることや、
不思議に感じていることなどを、
お二人が問答しながらすっきりと自分たちの考えを述べ、
解答となりそうな着地点に持っていかれているので、
ぐいぐいと読んでしまいました。


村上春樹の著作やサリンジャーについても、
胸のすくような意見が述べられていて、
これも爽快です。


そして地震と原発については、とても大きな問題でありますが、
日本人とその社会が持つ特徴から考えられることを、
中村氏も ばさりばさり と取り上げ、
佐藤氏が冷静に検討していきます。


私自身と同じ年代の方だからか、ご意見については何の問題もなく、
“目から鱗”がとてもたくさんありました。


再読時に付箋を貼ったら、100枚近くになってしまいましたよ。


一度に頭に叩き込むことはできませんが、
今を生きることに必要な知識と思考がしっかりと詰まった一冊です。


ご一読をお勧めいたします。

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